シューベルト 菩提樹 感想

『菩提樹(ぼだいじゅ)』(Der Lindenbaum/デア・リンデンバウム)は、オーストリアの作曲家シューベルトによる歌曲集 「冬の旅」の第5曲。. 2016年10月11日. とりあえず聴いてみます。ホ長調、4分の3拍子 Mäßig(ほどよい速さで)歌はフィッシャー=ディースカウこの動画は英語字幕がついていて面白いですね。ピアノの伴奏が、風にざわめく菩提樹のような印象を与えますが、これはおそらくそういう効果を狙っているでしょうね。 モーツァルトのオペラ魔笛より’夜の女王のアリア’をドイツ語で聴く. フルートのレッスンで、シューベルトの菩提樹を吹いています。 菩提樹って皆さんは見たことありますか? 菩提樹って大きな幹で枝も広がって、近くに寄ると安心感がある樹です。 私は東京の小石川植物園で菩提樹の木を初めて見ました。巨大な樹が道の左右に何本も植わっていて、とても気

スポンサーリンク最近毎日一回歌詞をみながら菩提樹を聴いていました。何か習慣のごとく座布団に座ってトラック5を再生する・・・みなさん菩提樹は聴いたことがありますか。僕がここのところ菩提樹を聴くようになったのには、まあ少しだけ面白い経緯があるのですが、それはとりあえずおいておいて曲と歌詞を玩味しようというのが今回のテーマです。 一体こういう歌というのは詩に曲をつけたものですから、詩がわからないと価値の半分が失われてしまいます。毎日きいていて、曲はもちろんのこと詩も非常によいので、今回紹介しようというわけです。シューベルトは二つの歌曲集を残していますが、「菩提樹」はその二つ目≪冬の旅≫の中の一曲です。冬の旅は1827年に作曲されましたが、詩を書いたミュラーはこの年33歳で夭折、シューベルトも翌年31歳で亡くなります。冬の旅は全24曲でなりたっていて、菩提樹はその5曲目に当たります。とりあえず聴いてみます。ホ長調、4分の3拍子 Mäßig(ほどよい速さで)歌はフィッシャー=ディースカウこの動画は英語字幕がついていて面白いですね。ピアノの伴奏が、風にざわめく菩提樹のような印象を与えますが、これはおそらくそういう効果を狙っているでしょうね。1Am Brunnen vor dem Toreda steht ein Lindenbaum,ich träumt’ in seinem Schattenso manchen süssen Traum,ich schnitt in seine Rindeso manches liebe Wort,es zog in Freud’ und Leidezu ihm mich immer fort.2Ich mußt auch heute wandernvorbei in tiefer Nacht,da hab ich noch im Dunkeldie Augen zugemacht ;und seine Zweige rauschten,als riefen sie mir zu :komm her zu mir, Geselle,hier findst du deine Ruh.3Die kalten Winde bliesenmir grad ins Angesicht,der Hut flog mir vom Kopfe,ich wendete mich nicht.Nun bin ich manche Stundeentfernt von jenem Ort,und immer hör ich’s rauschen :Du fändest Ruhe dort.1AmはAn demを短くしたもので、Am Brunnenで泉のほとりvorは~の前 Torは門(格変化でeがついている)門の前、泉のほとりにsteht ein Lindenbaum 菩提樹が立っているdaは場所を表して そこに(一本の)菩提樹がたっているich träumt’ 私は夢をみた ich träume私は夢を見る、の過去形 ’はe省略in seinem Schatten かれの陰の中で かれとは菩提樹のことそのかげで私は夢をみたmanchen süssen Traum 多くの甘い夢soは・・・強調でしょうか多くの甘い夢をschnitt schneidenの過去形で切ったRindeは樹皮私はその樹皮(幹)に刻んだ数々の愛の言葉をes zog zogはziehenの過去形 それはひいたin Freud’ und Leide 喜びのときも悲しみの時も嬉しい時も悲しい時も(それはひいた)zu ihm かれのところへ かれは菩提樹mich わたしをimmer fort いつも、絶えずわたしをいつもそこへ上行と合わせてそれが、嬉しい時も悲しい時も、絶えず菩提樹のもとへ私をひきつけた。となります。「それ」というのは単純に考えれば刻んだ言葉にみえますが、さてどういうことでしょうか。2mußtは英語のmust(ただし意味は過去) ~せねばならなかった。auch heute 今日もまたwandernは歩く私は今日もまたあるかねばならなかったvorbei (近くを)通りすぎてin tiefer Nacht 深い夜に、夜も更けたころ深い夜に、そばを通ってnoch im Dunkel 未だ、猶暗い中 改めていって暗闇を強調している感じ闇の中でわたしは(~した)(両の)目を閉じた。zugemachtはhab(e)と対応して、完了等を表す形und 英and そうするとseine Zweige かれの枝がrauschten rauschenの過去形 ざわざわいうそうすると菩提樹の枝がざわざわと鳴るals 英as ~のようにriefen rufenの過去形 riefen ~zuで呼びかけるsie 女性名詞をさす代名詞 枝のことmir 私に私に呼びかけるようにkomm her ここへ来い 命令形Geselle 仲間のことここへ来なさい、同朋よhier 英herefindst du (親しい人に向けて)君は見つけるdeine Ruh 君の安らぎをここで、君は安らぎを見出す3冷たい風が吹いてgrad 直にins Angesicht 顔(詩的な言い方)に顔にむけてder Hut flog 帽子がとんだ flogはfliegenの過去形mir vom Kopfe 私の頭から 直訳でいえば私から頭からになるが、ドイツ語ではこういう帽子が私の頭からとんだ私は振り返らなかったwendeteはwendenの過去形で何かの向きを変えること ここでは自分(mich)の向きをnun さて、今や 何か場面なのか気持ちなのか、とにかく一新した感じがあるmanche Stunde 長い間今や、わたしは長い間(~いる)entfernt (何かから)遠ざかってvon jenem Ort あの場所からあの場所から遠ざかってimmer いつもhör ich’s rauschen ’sはesそれ 私はそれがざわめくのをきくそして(それでも)いつもわたしは菩提樹がざわめくのをきく、dort 何か場所をさして そこ君はそこに安らぎを見出す(、と)この詩はどうでしょう、人によって捉え方がちょっと変わるかもしれません。曲調は中間部分の暗さ、厳しさはあっても全体的には明るいものです。しかし、結局「わたし」は菩提樹のもとにはいませんし、過ぎゆく何かを振り返ってみることもしない。ここのところにこの曲の聴きどころがあるのではないでしょうか。菩提樹はややあかるいものの、冬の旅は全体的に暗く、当時あまり評価されなかったようです。それでも現代においてはシューベルトの曲のうち最も評価され、人気のあるものですから、やはり何かひきつけるものをもっているのでしょう。◇フィッシャー=ディースカウは何度もこの曲を録音しているようですね。僕もフィッシャー=ディースカウ盤をもっていますが、すばらしいものです。録音を手に入れるとき迷ったら彼のものをおすすめします。今回は冬の旅から「菩提樹」を紹介しました。これまでほとんど菩提樹だけを聴いていたので、今度は他の曲をもう少し聴いてみようと思います。何かこうじっくり聴いてみるというのもたまにはいいかもしれません。楽譜や歌詞をみながらあれこれ考えていると、曲に対する理解が深まりますしなにより愛着がわきます。たとえ一曲でも、好きな曲があるというのは嬉しいことですよね。シューベルトは今まで三回とりあげましたから、よければ他の曲も聴いてみてください。前回の記事↓これは本当にいい歌・・・シューベルトの「楽に寄す」をドイツ語で味わうでは今回はこのへんで、さようならまだCDというものが世に出る前の学生時代もえぎさんAnorak (アノラック)大学では社会情報を専門にするも、音楽と語学の勉強に勤しんだため見事な情報弱者となる。趣味は古本蒐集、語学(主にドイツ語)、文学、音楽など。©Copyright2020