莫 漢文 読み方

※書き下し文では平仮名にする。

漢文の方は句法の説明がある程度終わりました。ここから一番得点に繋がる漢字の読みと意味を説明します。今日は、基本的な句法で出てくる漢字をまとめました。漢文は句法だと言われますが、実際に試験で得点を失わないためには、構文や漢字の理解が重要になります。で、一方で、これらは「覚える」範疇。知っていれば得点できるし、知らなければ推測するしかない。別名、勘ともいいますね。そして、「覚える」のだとすれば、入試前日であっても点が入る分野。というわけで、漢文は、漢字の読みリストに入っていきたいと思います。優先して、重要なもの、知っていて当たり前のものから解説していきたいと思います。基本的には覚えることが中心ですので、細かい説明は少ないかもしれませんが、それは勘弁してもらって、試験前にざっとでもながめてもらって、実際の試験で出ればいいなあと思います。如 4.ゆく 若 4.なんぢ試験に出やすい字です。しっかり理解しましょう。2と3は動詞扱いですから、必ず戻ります。返り点がつく、ということですね。2の「しく」は「しかず」「しくはなし」「しかんや」のいずれかで出てくると思って間違いないです。とにかく、読みが多く、試験に出やすいパターンです。まず、1~4のパターンは意味に直結するので、覚えましょう。1はwithのイメージ、必ず戻ります。なので「先生与生徒」の場合、「先生ト生徒与(と)」というイメージ。3は、「与其為牛後」で「其の牛後と為るより」というように比較級です。6以降は、漢字問題のパターンでもあります。7の「与す」は「寄与」とかのパターンでもありますね。4だけが、普通に読むパターンです。「安寧」とかですね。それ以外は、句法に関わります。1は選択・比較形、2・3は疑問ですね。わからない人はそもそも句法を復習しましょう。2ですが、「いづくにか」とは読みませんので注意。1は、鶏口牛後。「寧為鶏口、勿為牛後」で「寧ろ鶏口と為るも、牛後と為る勿れ」ですね。1が重要ですが、2と3も曲者です。漢字で書くと、両方とも、「自ら」で区別ができません。2なら、「自分で」3なら、「自然と」意味を考えて読みを変える必要があります。1は、「from」です。「来自学校」で、「学校より来たる」です。つづいて、基本的に助動詞として使われる漢字をまとめていきます。漢字そのものが問われるだけでなく、「書き下し文として正しいものを選べ」というような問題の時に、知識が問われます。2だとするなら、動詞ですから、直下は目的語になるはずです。1なら、当然直下が動詞ですね。3や4の可能性も当然あります。特に4だとすると、名詞ですから、下が動詞になるか、あるいは上に動詞がきて目的語になるか、というのが大きなポイントでしょう。わすれがちなのが「将」と同じ再読文字のパターン。2なら、比較の形です。3の「しばらく」も意外とテストに出ます。試験で出ることが多いですね。1なら、助動詞ですから、直後は動詞で必ず戻ります。2なら、上に主語=名詞が必要です。もちろん、動詞でもいいんですが、「~こと」「~もの」というように、名詞にしたうえ、しかも、下にさらに動詞がくるのはおかしい、ということで気付けるはず。可読か読可かということ。可読だと、助動詞+動詞で、読むべし。読可だと、あとに動詞がないから助動詞とはとれないので、読むこと可なり、です。試験で出るのは、1か2の見分けでしょう。1ならば、助動詞ですから、必ず直下が動詞でもどります。「~して当然」ですね。2なら、「~に当たる=~に出くわす、相当する」という意味にとれなくはないですが、その「~に」の部分は、直下で目的語になります。「~が」だとするなら、それは必ず「当」の上にないとだめですね。主語ですから。「当たる」は「当てる」でもありますから、そのあたりは日本語で考えればわかるはずですね。それが2と3の違いです。基本的には、1と2ですね。1が「どうして~しないのか、いやする」という反語形。反語は、原則「ン(ヤ)」なんですが、この形は「~ザル」なので注意。おかげで、「何不~」も「~ざる」と読むことが多く、それでも反語になったりします。「けだし」は「そもそも」ぐらいの意味。3はフタですね。1が基本で、戻らないなら2。「むべ」というのは「もっとも」ということ。「よろしく」というように「~く」は、「よろしいよ、以下のことを」なので読めたら意味がわかる。1が基本ですが、2もテストで結構見ます。ちゃんと覚えましょう。「すべきだよ、以下のことを」のパターンですね。ここは何個も意味があるというよりは、ひとつしかテストに出ないけど、「そもそも読めます?」というのをまとめます。2はほとんどみたことないですね。1は、順接も、逆接もあり。「もしも」です。特にありません。本当にこれだけ。2はありますが、ほとんど1ですね。読めないとかなり厳しい。基本的に1と2は助動詞。なので、どちらも下には動詞がくる。はっきりいってしまえば、読み方は好みで、どちらで読んでもバツとはいえないが、「不能」となるときは「あたはず」と読み、「不」がないときは、「よく」と読むことが多いと思います。3は、意味としては同じで、「できる」というのを一文字であらわす形。4は名詞で能力。もちろん「び」と読んで熟語を作ることはありますが、「~なかりせば」の構文ですね。「請い願う」という形。2の方が良く出て、「~くは」は「~以下のことを願う」という形。わかると思いますが、2が出ますね。当然、「かつて」がよく問われます。基本的に「尽」と同じ意味をもつ漢字ですね。これも1がテストに出ますね。続いて、前置詞として使うけれど、違う読みもあるよ、というのをまとめます。これも書き下し文の問題になったときに、意外と必要になる知識ですね。一番多いのは、1の「為に」でしょう。前置詞ですから必ず戻りますね。試験でよく出るのは、2と3。国立あたりで、書き下しに直すとなると、この動詞の意味の違いがわからないと苦戦します。「なす」は「する」で、「なる」はまさに「なる」。先生になるのか、~を先生とするのか。我為先生というのを、「自分が先生になる」なら「なる」、「自分が誰かを先生とする」なら「なす」です。「なす」と読むのは行為のときも。「我為登山」なんかだったら、「登山を為す」ですね。4は、断定のパターンですが、これも戻ってきます。5は、受身構文の流れと同じなんでしょうね。動詞の読みも覚えておかないとセンターあたりで出るとはじいちゃいそうですね。 1は英語でいえば、byに近いと思いますが、2の形、戻らずになんとなくそのまま入っているパターンもあるので、全部を1にしないようにしましょう。4は以為を「おもへらく=おもへり+く」と読むのか、「以て~と為す」と読むのか両方のパターンを覚えた上で、そのときの形ですね。5は、1のパターンと基本的には同じだと思います。動詞、「以=by・~」ということですから、本来は、「~によって~する」と戻ればいいわけですね。でも、戻るのが面倒なとき、特に「以」以下が長くなってくると、戻りたくない。だから、先に「~するに」「~を以てす」と、先に動詞を読んで、「それは~によってね」といくわけですね。最後のものは、「猶」と同じパターンです。文末に関わる字もある程度ながめておかないと、書き下し文を選ぶような問題で苦戦しますね。疑問や詠嘆、呼びかけなど、さまざまな読みがありますね。置き字だと思っていますが、意外と1~3までで試験に出るのでしっかり覚えないといけません。特に3は、最上級で使われますよね。「莫大焉」で、「これより大なるは莫し」のパターン。 読み問題では3が多いですが、1・2も知っていないといけません。読めれば終わりですが、限定形でよく出てきます。疑問形については、すでに漢字の読みが重要だと説明しましたが、それをベースにその他の読みも確認しましょう。1・2をしっかり覚えて、4の動詞を確認しましょう。これもそんなに難しくないですね。一字でも1のように「いくばく」となるだけでなく、2の「こひねがふ」などもよく見ますので注意が必要です。ここからは、センターの問一を含めて、一般的な漢字で試験に出そうなものをまとめていきます。まだ整理しきれていない部分もありますが、ながめてください。読みとして提示できるものは提示しますが、音読みしか一般的でなくても、熟語として意味がある場合には、熟語とその日本語の意味を示しますので、参考にしてください。読みは「しゃす」ですが、意味は4つにわかれます。2の「かふ=かえる」がよく出ている印象です。3の「おしむ」が頻出で、愛惜をイメージできるようにしておきましょう。1・2と3はだいぶイメージが違います。これはどちらかというと、解釈に直結するので、重要です。1と2ですが、3もみかけます。1や4はともかくとして、2と3が危ないのでチェック。1の是非の「ぜ」を忘れがちなので注意。とにかく3ですね。よく見ます。とてもよくテストで見る漢字。1の死ぬ、2の終わる、3の「ついに」、4の「突然」、5の兵士、すべてが問われる可能性のある、出やすい漢字。これも1から4までどれも出るような気がします。4は、故人が友人になるというやつです。温故知新、ふるきをたずねてあたらしきをしる、です。1と3もよく出ていると思います。1が頻出。反対語は「長」ですね。2と4も覚えましょう。4の時に問われることが多いですが、1・2もよく見ます。5も覚えておきましょう。通り過ぎるのと立ち寄るのは違う印象がありますから。1と2が基本です。3と4もとはいえ、よく出ているように感じます。基本的には1の「もとより」ですね。まずは2の「むかふ」を覚えましょう。3ですね。養うと書けば、部首が消えただけです。2と3は読みは違いますが、意味は「肯定する」です。1ですね。お仕えする、ということです。2番目は、捨てるで、部首が消えています。1のイメージは宿泊です。宿ですから。熟語が出れば問題ないですね。1がよくでますね。同じような中でもさまざまな「中」があり、意味が微妙に異なります。まずは1を覚え、2をそれの派生形として頭にいれます。「直し」で「まっすぐである」という形容詞。「あたひ」となるのは、「値」で部首がないパターンですね。1と4がよく出ますが、2・3の動詞も覚えておく必要があります。1・2が希望とか希求とかですが、3と4も意味としてはありますよね。2と3がよく出ます。3は「倶に」の部首なしですね。1が基本ですが、2で読むパターンも確かに見ます。1がもっともよく出ます。4とか5も頭に入るといいですね。3がポイントですね。1が頻出です。その動詞形が2です。1は、漢字のイメージから想像ができます。3は古文でいうなら、「とし」。現代語なら「はやし」ですね。両方の可能性がある漢字ですね。熟語をイメージしておきましょう。2のように、音楽や女性などをふくめて「あそぶ」ことと、1のように、歩き回る、旅をする、説得して回る、というような意味があることにも注意しましょう。1は有名ですね。3は部首がついたらわかります。1が頻出ですが、2も覚えておきましょう。意外とセンター系のもので見る出題ですね。4の知事に注意しておきましょう。センターの問一で多く出る可能性がある、「この漢字と同じ意味で使われている熟語を選べ」というような問題は、基本的に、熟語そのものを、その一字と比べるとよいでしょう。もちろん、熟語そのものがその一字を表しているとは限らず、「読書」のように「書を読む」だとすれば、下が「書」であるか、ほかの単語であるかはなんでもよく、重要なのは「読む」だけになりますが、これでさえ、熟語としてみるからこそ、「読む」という行為に気付けるわけですね。したがって、こういう場合には、熟語そのものといれかえてみるのがいいわけです。一方、普通の読解問題や訳の問題で、こうした漢字に出会ってしまったら、この字を含む熟語を探すことが大事です。最後の「道」ではありませんが、「報道」という熟語をみたときに、「どうして道なのか」と疑問に思う心が重要なんですが、かりになんとか「報道」に気が付いたら、「報道」を動詞化するような読みをあてていく、というのが、漢文の読み方のコツです。そもそもが訓読みそのものがすべて当て字、適当な読みなわけですから。では、次回は、読みを揃えて、違う漢字を列挙する形でまとめます。  

今回は、漢文を学習する上で最低限必要な「返り点(レ点・一二点・上下点・甲乙点)の読み方(読む順番)」、「置き字とは何か」、「書き下し文のルール」などの基礎知識について紹介します。 白文(はくぶん)=訓点(返り点・送り仮名・句読点など)のない漢文の原文。 莫 レ カレ 愁 フル 。→愁ふる莫かれ。 不・弗(ず) ※書き下し文では平仮名にする。 於 レ ヒテ 物 ニ 無 レ キ 不 レ ルコト 陷 サ 也。→物に於いて陷さざること無し。 其 ノ 人弗 レ ル 能 レ ハ 応 フル 也。→其の人応ふる能はざるなり。 非(~ニあらズ) 漢文において、否定を表す語には『不』『非』『無』『未』などがあります。 今回はこれらの語を使ったさまざまな否定の表現について紹介します。 単純な否定の形『不』『非』『無』『未』 単純な否定 … ※ハイフンを伴うことが多い。 ※「たり」と読むときには平仮名にする。