心エコー 正常値 看護

『循環器ナーシング』2016年7月号<よくわかる循環器検査>より抜粋。 Point 辻井由紀 〈目次〉 心臓超音波検査(以下,心エコー検査)は第2の 自覚症状・身体所見から心疾患や このデータを正しく解釈することで,原因疾患の診断,心機能・血行動態の評価,重症度や治療の効果判定だけでなく,予後予測もできます。 本コラムでは,心エコー検査から得られる所見とデータの解釈,検査時のケアのポイント,解釈した検査結果を看護ケアにどのように活かすかなどについて解説したいと思います。 プローブを当てて,高周波の超音波を心臓に発信して,返ってくる  プローブを当てる位置により,縦や横の心臓断面像を得て,心臓の大きさや周囲,壁や弁,異物などが観察できます。 断層像は心機能の評価を行ううえで重要です。 ビーム上にある心臓内の構造物の動きを,横軸に時間をとって記録できます。 胸骨左縁長軸像は,大 プローブに向かってくる血流,遠ざかる血流を異なる色で示し,心臓内の血流の方向や速度を評価できます。 一方向に間欠的に超音波を送受信し,任意の部分だけの血流速度を測定できます。 一方向に連続して超音波を送受信し,速い血流の速度を測定できます。 主に左側臥位で行います( この姿勢をとると肋間が開き,アプローチポイントが広がります。 検査のために患者を仰臥位にすると前負荷が増えて心不全が 画像記録時は,呼気位のほうが肺が上に上がるため,介助につく場合は,呼吸の調整を行うように心掛けましょう。 呼吸の調整時は,呼気止めを指示したまま解除するのを忘れることがあるので,患者と同時に息止めを行い,負担がかからないようにします。 モニターが見やすいように検査時は部屋を暗くする場合が多いですが,装置の設定で画面の明るさは調整できるので,一概に暗くなくてはいけないことはありません。 患者は上半身裸になるので,部屋の温度は通常よりも暖かい設定にし,検査着やタオルケットも用意しましょう。 また,超音波装置からは放射熱が出るので,エアコンなどで室温調整ができるようにしておきましょう。    心エコー検査の診断は,「 解剖学的診断では,心房・心室の大きさや壁の厚さ,壁 また,血栓,疣贅,腫瘍などの異常構造物や先天性心疾患なども判断できます。 左室の大きさと収縮能は,心不全の重症度や予後を規定する重要な要素の1つで,その評価法には左室拡張末期径LVDd)・左室収縮末期径(LVDs)・左室駆出率(LVEF)・左室内径短縮率(FS)があります。LVEFが正常であっても, 大動脈弁閉鎖不全や僧帽弁閉鎖不全の場合,LVEF の分子(SV)は,有効な前方拍出量に加え逆流量も含まれており,LVEFは過大評価されます。 肥大型心筋症やアミドイローシス,大動脈弁狭窄症などで壁厚の増大に伴う内腔の狭小化が著しい場合には,LVEFは正常ですが LVEFは左室が収縮することによる容量の変化率ををみており,FSは左室が内方に向かって動く距離の程度をみています。 左室心筋重量(LVMI)は,左室を回転楕円体と仮定し,計算された心筋容積と心筋密度から計算します( 1.04×[(LVDd+PWd+ LVMIは,“time-integrated exposure to blood pressure”の指標ともいわれ, さらに心エコー検査では,LVMIだけでなく,相対的壁厚も簡単に測定することができ,左室形態を詳細に分類できます(  壁厚が増大しても左室内腔が小さい場合は,左室重量係数の増大は伴わず,「求心性リモデリング」と呼ばれます。左室肥大はないものの,心血管イベントと関連があります。拡張型心筋症のように左室壁厚の増大はないものの左室内腔が拡大している病態では,左室重量係数は増大しています。 この病態は「遠心性肥大」と呼ばれ,収縮不全の多くはこの形態をとり,予後不良であることが報告されています。一方,拡張不全は,求心性肥大や求心性リモデリングの形態をとることが多いです。 左房のサイズは, そのため,左室の また,左房拡大やLAVIが40mL/m 左室は「全身に 肺動脈性高血圧のように,右心系の障害が心不全の主病態である疾患では,右心形態の評価が重要であるのはいうまでもありませんが,左心系の障害が主病態である心不全においても右心系の評価は重要です。 右室機能障害のサインとして,右室拡大,右室駆出率の低下,右房拡大,収縮期三尖弁輪移動距離(TAPSE)の低下などが挙げられますが,確立した右心機能評価指標はありません。 生理学的診断では,心拍出量の測定や左室収縮機能評価,左室拡張機能評価, 一回拍出量は,パルスドプラ法による「左室駆出血流の速度時間分値×流出路断面積」で,心拍出量は「一回拍出量× しかし,LVEF が低下している症例すべてで心拍出量が低下しているわけではありません。拡張型心筋症のように代償機能で心臓が拡大し,左室拡張末期容量が増加している症例では,LVEFの軽度低下であれば一回拍出量は保たれているこ ともあります。 心機能評価は収縮能と拡張能に分かれます。心不全症例の約40〜50%で,LVEFは保持または軽度低下している「左室駆出率が保たれた心不全」(heart failure with preserved ejection fraction;HFpEF/ヘフペフ)がみられます。 HFpEF は, 拡張能は,左室流入血流のパターンから正常,弛緩障害,偽正常化,拘束性障害の4つに分類されます。 右室収縮期圧は,肺動脈狭窄症がなければ肺動脈収縮期圧と一致します。 右房圧は,下大静脈径が絶対値として21mmを超えるかどうか,50%以上の呼吸性変動があるかでおよそ推定できると報告されています。 緊急を要する場合も少なくありません。 ・右冠動脈:右室,左室後下壁,心室中隔後1/3 ・左冠動脈前下行枝:左室前壁,心室中隔前2/3 ・左冠動脈回旋枝:左室側壁,左室後壁 心エコー検査により緊急 冠動脈支配域に合致した壁運動異常があるか,心内膜の動きだけでなく,壁厚の変化,線維化,瘢痕化,菲薄化などを観察します。 壁運動は正常収縮(normokinesis),低収縮(hypokinesis),無収縮(akinesis),奇異性運動(dyskinesis)で評価します。 ①僧帽弁閉鎖不全( 圧負荷に対する代償機能により求心性肥大が生じ,心拍出量は正常範囲に保たれます。心不全などの症状が現れるまで長時間経過します。 また,高度になると心拍出量,左室拡張末期圧は低下し, 左室長軸断面で大動脈弁の肥厚,石灰化と開放制限,弁輪径,バルサルバ洞径,STジャンクション径などの拡大の有無,左室肥大の有無を確認します。 左室短軸断面で大動脈弁の形態を評価し,先天性(二尖弁)か後天性(動脈硬化性)かリウマチ熱かを判断します。圧較差は流量に依存するので,大動脈弁逆流や左室機能に影響を受けます。 また,低心機能の大動脈弁狭窄では,高度なASでありながら,低心機能のために見かけの圧較差は小さく(low flow low gradient AS),中等度ASに左心機能障害を合併した症例,偽高度AS(pseudo severe AS)が含まれており, 慢性の場合には容量負荷がかかり,左房・左室ともに拡大してきます。代償機能が維持されている間は,逆流が高度でも,末梢へ駆出される心拍出量は正常で,症状出現までには長い経過を辿ります。 腱索断裂などで逆流が急性の場合は,代償機能が破たんし,急激に左房圧・肺動脈圧が上昇して,肺水腫をきたし,心原性ショックを起こすこともあります。 僧帽弁は前尖(A1,A2,A3)と後尖(P1,P2,P3)によって構成されています。 多断面で観察し,粘液性変化やテザリング,硬化,弁輪拡大などを観察し,原因が弁逸脱か機能性か,リウマチ性かを確認します。 正常の僧帽弁弁口面積は4〜6cm 左房圧の上昇は肺高血圧を引き起こし,二次的に肺動脈弁閉鎖不全や三尖弁閉鎖不全をきたすこともあります。 僧帽弁の開放制限,肥厚,石灰化,拡張期のドーミング(ドーム形成),腱索融合や短縮などの弁下部組織の変化を確認します。 MSの間接所見としては左房拡大,左室内もやもやエコー,左房内血栓の有無を確認します。 拡張期に大動脈から左室へ逆流を生じるため,容量負荷となり左室は拡大しています。 左室拡大と左室肥大の有無,弁の形態,弁葉数,弁輪拡張・逸脱の有無,肥厚・石灰化の有無などを確認します。 心筋障害により収縮力が低下し,代償機能で心腔の拡張をきたします。 左室収縮不全,びまん性の左室壁運動の低下,左室の拡大,左室壁の菲薄化,左室内血栓,もやもやエコーの有無などを確認します。 左室拡大に伴う僧帽弁逆流や三尖弁逆流,肺高血圧の有無もチェックしましょう。 心筋肥大,線維化の結果として左室への血流流入障害をきたし,左室拡張期コンプライアンスの低下が認められます。 壁の不均等肥大,内腔の狭小化,収縮期前方運動(systolic anterior motion;SAM),非対称性中隔肥大(asymmetric septal hypertrophy;ASH),僧帽弁・大動脈弁逆流の合併,大動脈弁の収縮早期半閉鎖の有無などを確認します。 心臓のポンプ機能の障害により起こります。収縮不全に伴うもの(heart failure with reduced ejection fraction;HFrEF/ヘフレフ)と,左室駆出率が保たれたHFpEF があります。 心不全の診断は心エコーのみでは困難ですが,①血行動態の異常に伴う心室充満圧の上昇,心拍出量低下の存在を示すこと,②原疾患を明らかにすることは重要です。 左室壁運動障害,収縮機能および拡張機能障害の有無,左室サイズ,左室充満圧(拡張末期圧)の推定,肺高血圧の有無,右室圧上昇の有無,右室拡大,下大静脈拡張および呼吸変動の有無を確認します。 左室拡大に伴う収縮不全では,テザリング(弁が左室側に引っ張られる現象)や弁輪拡大に伴う機能性僧帽弁逆流を認めることも多いので,MRの重症度評価も確認しましょう。 ただし,機能性僧帽弁逆流は心不全が改善すると軽減することも少なくないことから, 心疾患を有することで,どこに容量・圧負荷がかかり血行動態が変化し,どのように形を変えて代償機構を維持しているのか,破たんしているのか,二次元での心エコーデータを解釈し,三次元での立体的な心臓をイメージしていくことが重要 です。  症状や重症度,他の検査結果などと統合し病期を正確にとらえ,ケアにつなげましょう。 [引用・参考文献]  [Profile] *略歴は掲載時のものです。 本記事は株式会社医学出版の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2016 P.24~「心臓超音波検査」 SNSシェアシフト管理&共有アンケートや座談会・取材にご協力いただける看護師さん、大募集中です!応募方法はそれぞれ最新情報check! 12mm以上で心肥大と考える。 高血圧、HCM、弁膜症を疑う。 ECGで左室肥大の所見は?(V1V5のR高いなど) ☆IVC::下大静脈径. 心エコーって難しいですよね。そこで、最低ここを覚えておけば大丈夫という部分をまとめてみました。心エコーについて学び、日々の看護に活かしていきましょう!!心エコーではまずここを見ましょう 目次心エコー検査とは、心臓超音波検査のことを言います。心エコー検査では、X線や造影剤を用いずにプローブを当てて,高周波の超音波を心臓に発信して,返ってくる反射波を受診し,心臓の様子を画像に映し評価する検査です。心エコーの正常値を把握しておくことで、異常を判断することができるため覚えておきましょう。  Aortic dimensionの略でAODです。Left Ventricular Dimension systoleの略でLVDsです。Left Ventricular Dimension diastoleの略でLVDdです。InterVentricular septum thicknessの略でIVSTです。left ventricular Posterior Wall Thicknessの略でPWTです。Left Atrial Dimensionの略でLADです。Ejection Fractionの略でEFです。Inferior Vena Cavaの略でIVCです。Stroke Volumeの略でSVです。虚血性心疾患(特に急性心筋梗塞)では、梗塞を起こした冠動脈支配域に合致した壁運動異常があるか、心内膜の動きだけでなく、壁厚の変化、線維化、瘢痕化、菲薄化などを観察します。壁運動は以下のように評されます。 やっぱり心エコーは難しいですね。本当は他にも評価できることが多くあるみたいなのですが・・・本当に難しいです。とりあえず、覚えておいて損はない心エコーについて載せてみました。参考にしていただければ幸いです。この記事が気に入ったら最新記事をお届けします。心電図について詳しくなりたいあなた!!心電図に詳しいことで、あなたの知識が向上し不整脈の時にも適切な対応ができます!心電図って苦手意識を持っている人多いですよね。特にオススメのサイトはこの3つです!!©Copyright2020