介護予防 目標 文例
日本内科学会認定内科医、医学博士の医療法人敬寿会やすい内科安井直院長が運営に携わる介護の業界で働く人のためのサイトです介護予防計画書は、担当する本人の状態に合わせて作成されます。運動機能不全、閉じこもりなど、本人によって課題は様々です。介護予防計画書には作成ルールがありますが、正解は存在しません。本人ひとりひとりに合わせた計画書の作成が求められてます。目次介護予防計画書は、要支援1または要支援2の介護認定を受けた人が、介護保険サービスを利用するときに個別に作成する計画書です。作成は地域包括支援センターの計画作成担当者がおこないますが、どのような計画にもとづいてサービスが提供されるのか、具体的な本人像を想定して項目ごとに文例を見ていきます。介護予防契約書を作成するAさんの状況介護予防計画書の様式です。1枚の用紙に本人情報、アセスメント、プランを掲載します。介護予防計画書は、作成担当者と本人、その家族が相談しながら作成します。上段には本人の氏名や認定情報が記載され、一日、一年の目標が設定していきます。すべて記入したら、本人、家族、関係者と担当者会議を開催して、本人による署名、押印をおこなってから、サービスの提供が開始されます。アセスメント領域と現在の状況計画書の左にある①から④がアセスメントの領域になります。アセスメントとは、情報収集をおこなって、課題や支援のヒントがないか分析をおこなうまでの一連のプロセスをいいます。聞き取った情報を項目に記載し、現時点での課題を分析します。アセスメントの各項目は、できない事だけではなく、できる事も記載します。そうすることで、本人ができないことをサービスが支援するのではなく、できる力を活かすことで、できない力を補うことが可能になるからです。運動機能の状態や移動している状況を記載します。歩く、走る、昇降する、乗り物を操作する、交通手段による移動の現状を記載します。【Aさんの場合】変形性の膝関節症があるので、膝痛がありますが、室内は伝って移動することができます。屋外は転倒が怖く、20メートルほどしか歩けません。右大腿骨頸部の手術を受けてからは、しゃがむ、足をくむなどの動作は禁止されています。家事動作について記載する項目です。買物、調理、掃除、洗濯、ゴミ捨て、入浴などの日常生活の動作を確認します。自分でできているのか、誰かが手伝っているのか、手間や手段を具体的に確認します。【Aさんの場合】椅子に座って過ごすことが一日の大半を占めています。動作を制限されていますが、調理、掃除、洗濯などはゆっくりおこなえますので、サポートの必要はありません。床に物がおちると拾えないので、マジックハンドを使い始めました。買い物やゴミ捨ては長男夫婦が代わりにおこなってくれています。浴室内に掴まる所がありませんが、一人で入浴したい希望があります。人との交流がどうなっているか、という項目です。家族や近所との人間関係が保たれているか、仕事やボランティア活動、町内の行事などへの参加状況、家庭内や町内での役割の有無を確認します。【Aさんの場合】人と話すのが好きで、以前は一日のほとんどを畑で過ごしてきましたので、退院後は家の中で何もすることがありません。近所の人に自分の姿を見られるのが嫌なので、散歩も行かず、また福祉サービスも利用する気はありません。 服薬や定期受診の状況を確認する項目になります。飲酒や喫煙等の嗜好や、食事や運動など健康面について必要と思われる内容を確認します。【Aさんの場合】部分入れ歯を使用しています。朝、夕の歯磨きは自分でできます。1ヶ月に1回受診がありますが、長男が送り迎えをして出かける事ができています。服薬は60歳からコレステロールの内服治療をしており、数値は正常と言われています。本人・家族の意欲・意向アセスメントで確認した情報について、本人、家族の認識や意向を記載する項目です。以前と身体状態が変化している場合は、現在の心境や意向を確認して、今後の援助方針を決める際に参考にします。計画作成担当者は、本人が現状を受け入れられず消極的な言動がある場合、今までどおりに続けたいことや要望があれば、支援計画で改善提案や目標に掲げ、意欲を引き出す工夫をします。【Aさんの場合】(本人)膝の痛みがあります。大腿骨の手術を受けましたが、できないことが増えました。生活上の課題に対して、背景や原因を分析して、担当者が記載をする項目です。課題の有無があるのかを検討して、有無どちらかのボックスにチェックを入れます。健康状態や心理状態、物的・人的環境や経済状況など多角的に聞き取ります。本人が訴えている課題の原因がどこにあるのか、今後どういったリスクが予測されるのかを記載します。本人が訴えていなくても、専門的な視点で課題があれば記載します。課題がない場合でも、「ない理由」があれば記載して本人・家族と共有します。【Aさんの場合】(運動・移動について)(日常生活について)(社会参加・対人関係について)(健康管理について)すでに表明された課題について順位を検討しますので、ここで新しい課題が表出されることはありません。消極的な記載にならないように、「~なので、~の必要がある」「~ですが、~すれば可能になる」というポジティブな表現で記載します。ポジティブな表現を使う事は、本人が「やってみよう」「そうなりたい」と目標に対して、前向きに行動を起こすことにつながります。Aさんの総合的な課題を次の3つに特定し、記入しました。優先度の高い順に課題番号を振っておくと、番号ごとに対応する支援やサービスが見やすくなります。そうならないように、目標や支援内容が本人の課題やニーズに適しているかどうか、情報収集と分析が重要になります。設定される目標は、専門的な視点から示す提案となります。生活機能の低下を防ぐことができるような対策だけではなく、できる力をさらに引き出せるような工夫など、様々な角度から具体的な案を記載します。【Aさんの場合】(総合的な課題の番号に準じています)アセスメントにより導き出された総合的課題について、計画作成担当者が本人、家族に具体策を提案し、そこで得られた本人と家族の意向を記入する項目です。ここで合意が得られれば、目標設定につながります。【Aさんの場合】1.(本人)花作りは以前もしていたのでやりたいです。押し花もやってみたい。今までの内容を計画書に記載するとこのようになります。計画作成担当者と本人、そして家族で、目標に記載する内容をすり合わせします。これは本人自身が心配していることや楽しみに思っている順に掲げます。こうなりたい、がんばれそうだという内容であれば、取り組む意欲も高まり、自分のもっている力をいかせることにつながります。【Aさんの場合】介護予防計画書の目標を記入する3箇所介護予防計画書には目標を記入するところが3ヶ所あります。ここで作成する目標は、全体図の②の項目です。各事業所もこの目標達成に向けてサービスを提供します。介護予防計画書は、本人自身が自立への意欲を高められるように①1日の目標、③1年の目標が設定されています。3つ目標にはそれぞれ設定する際ポイントがあります。①に記載する「一日の目標」は毎日コツコツできる小さな目標(日課を活用する)にします。例:午後のテレビ体操を一緒にしましょう②のケアプラン目標は3ヶ月から6ヶ月の目安で達成できる内容にします。③に記載する「1年の目標」は、来年こうしていたい、という長い期間を意識し、①、②を積み重ねた先にある目標を設定します。目標によっては、一つの目標に複数のサービスを位置づけることがあります。例えば「トイレに自分でいける」という目標を掲げた時に、身体機能へのリハビリと、トイレ内の手すり設置をそれぞれ計画書に位置づけて実施し、両方の達成を終えて、一つの目標がクリアできる場合もあります。計画作成担当者が、サービス提供者に向けて、「この人の支援のポイント」を具体的に紹介する項目になります。全ての目標に対して必要ではありませんが、要望や注意事項、配慮などを記載します。例えば、「車酔いをするので送迎時注意です」「ヘルパーは同性希望します」といったことも本人の同意のもと記入しておくと、気持ちよくサービス利用することができます。ただし、サービス提供者が対応できる範囲にしておきます。【Aさんの場合】目標と支援のポイントを記入したら、セルフケアやインフォーマルサービスの検討をおこないます。行う理由としては、介護保険の基本理念が、本人の有する能力に応じて、自立した日常生活を送れるように定められているからです。また、目標に応じた支援を考える際、計画内容を公的サービスのみで作成しがちになります。その理由は、計画作成担当者にとってインフォーマルサービスよりも公的サービスの方が、調整しやすく、気軽に利用できるからです。しかし、介護予防計画書の様式は、【Aさんの場合】1.長男→しゃがめないので、プランターは腰の高さまであげてください。インフォーマルな協力者で対応可能な資源がない場合、介護保険や地域支援事業のサービスを検討し、該当するものがあれば記入します。本人、家族から同意が得られたサービスのみ記載します。利用するサービス種別を記入します。介護保険サービスの種別や地域支援事業として市町村独自のサービス名を記入します。サービスを提供するサービスの正式名称を記載します。介護保険以外の公的サービス、地域の人、本人についても記載します。期間についての項目は、認定の有効期間内の日付で終了期間を設定します。なぜなら、介護予防計画は要支援の認定期間内で目標を設定し、サービスを提供するためです。【Aさんの場合】1.(サービス種別)なし(事業所)本人、家族、地域包括支援センター目標以降の内容を計画書に記載するとAさんの計画書はこのようになります。ですから本人以外の意見にかたよったり、作成担当者だけで進めてしまうと、本人の意欲が下がり、結果的に今よりも生活の質が低下しかねません。本人が望んでいる目標を計画に基づいて達成するためには、次の3つのポイントが重要です。・「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「個人・環境因子」と多角的な視点で情報収集と分析をおこなう計画作成担当者は介護予防計画書を作成して、役割が完了するわけではありません。ここから支援者の一人としてスタートをします。介護保険制度の運営基準では、支援者はマネジメント開始後、毎月1回の電話モニタリングと3ヶ月に1回程度の訪問が義務付けられています。その理由は、本人の生活状況に変化がないか確認し、新しい課題が発生していないか、計画が予定通り進んでいるかを評価する責任があるからです。計画作成担当者は、本人のこうしたいという望みを常に確認しながら、その実現のために支援チームをマネジメントする中心となります。ですから計画作成担当者にとって介護予防計画書は、この記事が気に入ったらいいね!しようクレセント編集部です。介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員などが保有資格の現役介護職・経験者のライターが執筆しています。10年以上転職なしで働く人や転職を経験している人、未経験から介護職で働く人など、さまざまな経験を持つ私たちが介護職で働く人を応援するサイトです。